太れない人の原因の一つに胃下垂が挙げられます。
いくら食べても太れないことから「胃下垂って羨ましいな~」なんて言われることもありますが、当事者からすれば全く嬉しくないですよね。
時には「胃下垂のせいで自分は一生太れないのか…。」と絶望感に打ちひしがれることもあります。
では、胃下垂に悩むガリガリ体型の人はどう太れば良いのでしょうか?
今回は胃下垂の原因、そして胃下垂でも効率的に太る方法について書きたいと思います。
目次
胃下垂とは?
名前の通り、胃が下に垂れ下がっている状態を胃下垂と言います。
本来正常な胃は、左胸の下からみぞおち付近に位置しています。
これが何かしらの要因で胃下垂になると、胃の下側が骨盤あたりまで垂れ下がるようになります。
胃下垂になると、消化を行うための蠕動運動がスムーズに行われなくなり、消化不良を引き起こしやすくなります。
また、胃もたれ、胃のむかつき、下痢、便秘などの不調も頻繁に起きるので、食欲不振で食事量が減ってしまいます。
このように胃下垂になると、増量して太ることが難しくなります。
胃下垂になる原因
ガリガリ体型の人が胃下垂になるケースとしては、主に以下のものがあります。
お腹周りの筋肉・脂肪が少ない
お腹周りの筋肉・脂肪が少ないと胃を始めとする内臓を支えることができずに垂れ下がってしまいます。
痩せすぎの人は筋肉・脂肪が少ない傾向にあるので、これが胃下垂になる最も大きな要因とも言えます。
胃下垂だから痩せているというよりも痩せているから胃下垂になっていると言った方が正しいですね。
つまり、元々痩せている体が胃下垂になることで、余計に太りにくくなるということです。
姿勢が悪い
姿勢の悪さも胃下垂を引き起こします。
姿勢が悪いとは猫背や反り腰の状態ですね。
猫背の場合、背中が丸まって体の重心が前にくるので胃が下に下がりやすくなります。
また背中が丸くなることで腹筋を使わなくなります。
腹筋を使わないということはお腹周りの筋肉の衰えに繋がり、その結果、胃を支えることができなくなってしまいます。
デスクワークや学生など長時間座ることが多い人は猫背になりやすいです。
特にパソコンを使用していると無意識のうちに体が前のめりになって猫背になっています。
一方、反り腰になると骨盤が前に傾きやすくなります。
そうすると胃も垂れやすく胃下垂になります。
実際に意識して反り腰の姿勢になってみるとお腹が下に下がる感じが分かると思います。
この2つがきっかけで胃下垂になる人が多いですが、
これ以外にも
- 過労・ストレス
- 暴飲暴食
- 出産後
などがきっかけで胃下垂になることもあります。
胃下垂のガリガリ体型でも太ることは可能
胃下垂になると太ることが難しいとはいえ、全く太ることができないわけではありません。
胃下垂でも太ることは十分可能です。
なぜかと言うと、食べ物の分解(消化)は胃だけで行われないからです。
食べ物は口から食道、胃、十二指腸を通り、吸収しやすい形に分解できたものが、最終的に小腸で吸収され、栄養として全身に送られます。
この過程で、食べ物の分解を担うのが消化液から分泌される消化酵素です。
唾液や胃液、膵(すい)液、腸液など様々な消化液と食べ物が合わさることで、消化酵素が栄養素を少しずつ分解していきます。
そして、
「体内で脂肪になる炭水化物はブドウ糖」
「筋肉の栄養になるタンパク質はアミノ酸」
「脂質(脂肪)は脂肪酸とグリセリン」
まで分解できた時に小腸で吸収されます。
吸収できなかったものは大腸へ移動した後、便として排泄されます。
消化液(消化酵素)とその役割 ※消化酵素は主なものです。
消化液 | 消化酵素 | 役割 |
唾液 | アミラーゼ | でんぷん(炭水化物)をマルトースに分解する |
胃液 | ペプシン | タンパク質をペプトンに分解する |
胆汁 | なし | 消化酵素はないが脂肪を乳化する |
膵液 | アミラーゼ | でんぷん(炭水化物)をマルトースに分解する |
トリプシン | タンパク質(ペプトン)を分解する | |
リパーゼ | 胆汁で乳化した脂肪を脂肪酸とグリセリンに分解する | |
腸液 | マルターゼ | 唾液、膵液で分解したマルトースをブドウ糖に分解する |
ペプチダーゼ | タンパク質(ペプトン)をアミノ酸に分解する | |
リパーゼ | 胆汁で乳化した脂肪を脂肪酸とグリセリンに分解する |
※小腸の消化酵素の多くは厳密に言うと、腸液ではなく上皮細胞に存在しています。
表を見ると分かる通り、体内で様々な消化酵素が働いて、食べ物を分解(消化)しています。
つまり、消化活動に負担をかけないように食事を工夫すれば、胃の消化力が落ちても体重を増やすことは十分可能です。
実際、僕も胃下垂で悩んでいましたが、50kg前半のガリガリ体型から10kg以上の増量に成功しています。
次の章では胃下垂の僕が太るためにどんなことを意識したのか説明していきます。
胃下垂でも太る方法
胃下垂でも太るためには「消化に負担をかけない食事」を意識しつつ、体重を増やしていくことが大切です。
- 消化に悪い物を食べ過ぎない
- しっかり咀嚼してから飲み込む
- 食事中に水分を取りすぎない
それぞれ詳しく解説していきます。
消化に悪い物を食べ過ぎない
太ろうとする人の中には、揚げ物やケーキ、お菓子、ジャンクフードなどをたくさん食べて体重を増やそうとする人がいます。
しかし、こういったカロリーの高い食べ物は、消化(分解)する際に膨大な消化酵素を消費します。
そのため、食べても消化不良になりやすく、脂肪として蓄えることができません。
よって、胃下垂の人がこのような間違った食事法をやってしまうと、余計に胃を酷使するだけで、体重を増やすことができません。
高カロリーよりも栄養バランスを意識しながら食事を取った方が結果的に太りやすいです。
また、消化に良い食べ物を食事の中に増やすのも一つの手です。
消化の負担を軽減することで、胃下垂の人でもしっかり食べ物を分解することができます。
主食系:うどん、食パン、白米
主菜系:鶏胸肉、鶏もも肉、ささみ、白身魚(カレイ・タイ・鮭など)、卵、豆腐、納豆、ヨーグルト
副菜系:かぼちゃ、キャベツ、大根、ほうれん草、白菜、じゃがいも、にんじん、バナナ、みかん、りんご
主食系:チャーハン、ラーメン、菓子パン
主菜系:脂身の多い牛肉・豚肉(ステーキ、ロースなど)、まぐろ、うなぎ、生卵、油揚げ
副菜系:ごぼう、れんこん、セロリ、たけのこ、梨、パイン、キウイ
もちろん、消化に悪い食べ物の中には栄養価に優れた食品もあります。
なので、胃腸の調子が悪い場合を除き、消化に悪い食べ物を無理に排除する必要はありません。
ただ、タンパク質(肉・魚・卵・大豆など)に関しては、できるだけ消化に良い物を選んだ方が良いです。
胃液から分泌されるペプシンはタンパク質を分解するわけですが、消化力が低下した胃下垂の状態では、脂身の多い肉や魚を消化しきれない可能性があります。
また、脂の取りすぎで胃もたれや吐き気、食欲不振など様々な症状が出て、次の食事に悪影響を及ぼし、1日の食事量が減りやすくなります。
とはいえ、タンパク質は筋肉・髪・爪・内臓など体を作る重要な栄養素であるため、欠かすことができません。
なので、鶏肉や白身魚、卵、豆腐、ヨーグルトなど、消化に良い物からタンパク質を摂取しましょう。
脂肪細胞が少ない痩せ型の人は脂肪だけで太るとお腹ぽっこりになりやすいですし、筋肉をつけた方が外見上の変化が出やすいので、ガリガリ体型の印象を払拭しやすくなります。
筋トレの始め方はこちらを参考にしてみてください!
しっかり咀嚼してから飲み込む
前述の通り、唾液も消化をサポートする消化液の一種なので、唾液の分泌量を高めることで胃への消化の負担が軽減されます。
唾液の分泌を高めるには、しっかり噛むことです。
噛めば噛むほど唾液が分泌されて、口の中で食べ物がドロっと溶けていきます。
食べ物の固さによっても違いはありますが、一口30回を目安に咀嚼しましょう。
まだ飲み込みにくいと感じた時は、もう10回ほど咀嚼してから飲み込むと良いですね。
食事中に水を飲みすぎない
食事中に水分を取りすぎてしまうと消化酵素を薄めてしまい、消化が正常に行われにくくなります。
特に氷が入った冷たい飲み物で胃が冷やされると胃の働きが抑制され、ますます消化に負担をかけてしまいます。
食事の際は、常温の水をコップ1杯ほど飲むと良いですね。
まとめ
今回は胃下垂で悩むガリガリ体型の人が太る方法を紹介しました。
- 胃だけで消化するわけではないため、胃下垂でも太ることは可能
- 消化に負担をかけない食事を意識することで、栄養吸収力が高まり体重が増える
胃下垂だからといって、太ることを諦める必要はありません。
胃下垂でも消化に気をつければ太ることは十分可能です。
そして、ガリガリ体型を克服して自分に自信をつけましょう!
最後までご覧頂きありがとうございました。